GoGokongのラクガキ帳

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雑誌の感想 文藝春秋2020年4月号(1)

「ある性犯罪者」の衝撃の告白

随分と前から、女性や子供を狙った犯罪についてのニュースを耳にしている。昔も今も、そんなことが起こればニュース番組で特集を組まれるが、視聴しても犯行の動機はさっぱりわからなかった。

文藝春秋に掲載されたこのルポを見た時、すこしだけ犯人の動機の輪郭が見えた気がした。インタビューに答えた男は、女子に対する犯罪行為を繰り返した。その中には、殺人も含まれている。本誌にてその内容が説明されているが、私は読んだだけで嫌悪感で一杯になった。

なぜ犯行を繰り返すのか?

最初、私はこの犯人が特殊な性質をもった見るからに異常な人間なのだと思った。しかし、筆者が面会したときの男に対する印象は違ったようだ。

整った短髪に白髪は見当たらず、実年齢よりも少しだけ若く見える。初対面の記者の姿を認めると、律儀に何度も頭を下げた。

 そして、犯行の動機は突発的にだと答えた。

「精神的なストレスがたまると気持ちが落ち込み、やけっぱちになってしまう。すると心のコントロールを失って過去に自分がやった犯行のことを思い出し、性的な衝動が抑えられなくなります。」

 女子ばかり狙う理由は、性癖からではないとも答えている。

「けっしてロリコンではありません。同年代と仲良くなることもあったし、成人した女性の方が良い。でも、性犯罪で狙うとなると、大人は私の体力的に厳しい。だから小さな子供を標的にしてしまう。」

 完全に信じることはできないが、この男が過去に結婚して子供がいることを考えると、まったく嘘ではないように思う。ただ、なんで心に余裕がなくなると女子への犯罪に走るのか。「犯罪に走る者」と「そうでない者」に分かれる原因がわからなかった。

以前NHKでDV加害者のインタビューを見たことがある。その番組の中で「自分の思い通りにならないと手を挙げてしまう」と加害者が答えたのを思い出した。

この性犯罪者も、自分の思い通りにならないことがあると暴力でそのイライラを発散しようとしているのかもしれない。

普通、相手に暴力や暴言をぶつける前に倫理的な理由で自制する。もし、自制が働かずに実際に行動に移してしまっても、相手への罪悪感を感じるはずだ。しかし、DV加害者もこの男も相手への罪悪感が湧かなかったのかもしれない。

実際、男は「性犯罪者処遇プログラム」という再犯防止プログラムのなかで初めて被害者の立場を考えたようだ。

「私が言うのも変ですが、やられる側はこんなにショックを受けるのだな、と。怒りが痛いほど伝わってきました。」

この男は、再犯防止プログラムを受けた後も結局、女子を襲ってしまった。

相手の立場になって考えてみる。これが、人との付き合い方の基本だ。でも、男はこれができていない。

なぜなのか?この原因がわからない限り同様の事件は今後も発生する。