雑誌の感想 日経サイエンス 2020年5月号(2)
運動と記憶力の関係
本誌に掲載された特集「運動が記憶力を改善する理由」が掲載されていた。
運動が脳の認知機能に好影響
運動が、人の脳の機能にいい影響をあたえることは以前から知られていたらしい。脳機能の維持に効果があり、アルツハイマーなどの神経機能の病気予防にも効果があるが、その理由ははっきりしていない。
この特集において、ネズミを使った研究やイギリスの中高年を対象にした調査結果をもとに、運動することが新しい海馬ニューロンの発生を促すこと、そして、このことが、人が年齢を重ねても認知機能を維持するのに有益であることを著者らは述べている。
有酸素運動は、海馬以外の脳領域への好影響があることも述べている、
人の進化の歴史
著者らは、この現象の背景に人の進化の歴史があるのではないかと考えている。
- 四足歩行をやめて直立二足歩行に移行した。
➡四足歩行に比べて、高いバランス能力が必要になったため、脳は多くの情報を統合して全身の筋肉活動を維持するようになった。 - 寒冷期に入ったことに対応するために、長い期間を狩猟採集を行った。
➡長距離の移動をするためにそれまで以上の有酸素運動が必要になった。
自分たちの現在地を把握できるように、空間把握能力が必要になった。
狩猟・採集するために、より多くの視覚と聴覚の情報を使える能力が必要だった。
高度な全身の運動機能、空間把握機能、聴覚・視覚系の処理。こういった複数の機能をいっぺんに処理できるように人の脳は進化した。このことが、運動がニューロン発生を促す一因と考えられる。
どの運動が効果的か
ただ、運動するよりも認知機能を刺激する運動をするようが効果が現れる。例を挙げるなら、ランニングマシンで一定速度で走るよりも、外をランニングする方がいい。後者では、ルートをまよわないように街並みなどから現在地を把握することで認知機能を刺激する。
ここからは私見だが、知らない場所を散策したり、いつもと違う道を歩いてみたりするだけでも効果があると思う。また、農作業に従事する人に高齢でも元気な人が多くいるが、体を日頃から使うこと以外に、生き物を扱う仕事にはイレギュラーなことが起こりやすいことが一因としてあるのかもしれない。(最近では、異常気象とかも当てはまりかも。)
最近、自分も家庭菜園を始めたので、運動不足兼ボケ対策として長く続けたい。