雑誌の感想 NEWSWEEK 2020年4月14日版
オリンピックとコロナ
先月、コロナ感染が世界中に広がっている影響から今年開催予定だった東京オリンピックの延期が決定した。オリンピックが延期になるまでに時間を要したと記憶していたが、やはりその裏側で、大会開催する人達のそれぞれの思惑が絡み合っていたらしい。本誌の特集で、その紆余曲折が記載されていた。
その内容は、簡単にまとめれば以下の通りだ。
- バッハは何としても大会を通常開催したかったが、出場選手からのボイコット呼びかけなどがあり断念した。
- IOC会長バッハは、大会中止となれば、自身のIOC会長再選が危ないと考えていた。
- 自分の任期中に大会を成功させて自身の成果としてアピールしたい東京都知事の小池百合子、内閣総理大臣の安倍晋三の間で思惑が一致した。
- それぞれにとって都合のいい一年後の延長に決定した。
テレビや新聞で、オリンピック延期が決定した後、IOCと日本政府のどちらが最初に大会延期を提案したのかについて話が食い違っていることが話題になった。(どちらも、自分たちから大会延期を提案したと話していた)
識者やご意見番は、安倍総理が嘘をついて都合のいいことをいっていると主張していたが、そこまで単純な話ではないと思う。
もちろん、政治的にアピールするために安倍総理が嘘か脚色している可能性がある。しかし、オリンピックの最終決定を行う権利はIOCにある。日本政府でも、東京都でもない。ここまで延期決定がギリギリになった原因は、IOCが通常開催にこだわっていたことがあるはずだ。そのIOCが今回のドタバタ劇の責任を逃れるために自分たちから延期を提案したアピールしているとも考えられる。
筆者によれば、バッハが会長就任してから6年余りたち、次第にバッハの専制政治色が強くなっているらしい。他の理事たちも会長に異論をはさむ人間は少なくなっていた。ぎりぎりまでバッハが通常開催にこだわれば、それがIOCの総意になった。
バッハが通常開催にこだわった理由は、自身の会長再選のほかに、以降のオリンピック開催地の立候補者を無くなってしまうことを恐れてのことらしい。
ここまで、アスリートファーストからの考えが一つもない。あるのは、オリンピックという世界最大のイベントを成功させて利益をだして、今後もそれを続けたいという欲望だけだ。
他にもこの類の話を挙げれなきりがない。例えば、今ではほとんどの人が知っているように、アメリカ大手メディアのNBCが大会スポンサーとして大きな影響をもっている。この影響で、アメリカに人気のスポーツがアメリカのゴールデンタイムに合わせた日程になっているといわれている。
私は、オリンピックを廃止するべきだなんて思わない。オリンピックでの選手たちの活躍をみると、感動する。そして、元気をもらえる。自国の選手が優勝した時は、国中が喜びに満ちる。私だってサッカーやラグビーを楽しみにしていた。でも、今回のオリンピック延期までのプロセスを見ていると、普段隠れている大会の利権に絡む開催者たちの欲望を感じ取ってしまう。そして、オリンピックは誰の為にあるのかと考えてしまう。