GoGokongのラクガキ帳

雑誌の感想など、日々の記録を残そうと思います

雑誌の感想 文藝春秋2020年4月号(3)

やっちゃだめだからやりたくなる

本誌に掲載「不倫は楽しい!だから叩かれる」から。

特集のなかで、「不倫はいけないことだから、不倫が無くならない」という話が出ていた。その例えにダイエットしても結局また食べ過ぎて太っちゃう、ということが出ていた。他にも、テスト勉強中にマンガ読んだり、スマホであそんだりすることも当てはまるのかもしれない。

やっちゃだめだと思えば思うほど、やってみると夢中になる。その心理は私もよくわかる。ただし、不倫はダイエットやテスト勉強と違って相手の信頼を裏切る行為だ。そこにまで頭が働かないのか、それとも働いても敢えて無視をするのか、私にはそこが全然わからなかった。

特集では他に、遺伝子に「不倫遺伝子」なるものが見つかっているらしいこと、そして、その遺伝子は「不倫型」と「貞淑型」に分かれていることが掲載していた。もし不倫に走る原因としてこの遺伝子が大きく関わっているのなら、不倫する人と不倫しない人は分かりあえることはできないのかもしれない。

 私は「貞淑型」なのだろうか?だとすれば、瀬戸内寂聴は「不倫型」なのかもしれない。何かの雑誌でインタビュー記事を読んで、彼女の不倫に対する持論を知った。曰く「恋とは雷に打たれるようなもの」で、「自分の意志ではどうすることもできない」。だから、不倫してしまうのは「しょうがないこと」らしい。

私には、1ミリも理解できなかった。結婚したら、不倫しないことなんて約束するまでもない常識だし、どうしても別な人が好きになってしまったなら筋を通して今の相手と別れを済ませるべきだと、そう思った。そして、彼女のような考えを持つ人がきっと他にもいるのだと考えた時、少し腹が立ったことを憶えている。

だけど、遺伝子レベルで違うとなれば、もう理屈云々でなくそういう人間もいると思うことができた。いくら頑張っても、本当に理解することはできないだろう。

また、特集の他には「フリーライダー」という用語も出ていた。これは、集団のなかで自分は汗水流さずにおいしいところをかすめ取ろうとする人を指すらしい。人間という生き物は国家や家族、会社という集団に属して生きる。そして、個人個人がお互いに一定の協力をして自分たちが属する共同体を維持する。フリーライダーが現れると共同体の秩序が乱れる。それを防ぐために、フリーライダーに対して攻撃が加えられるらしい。私が、瀬戸内寂聴のインタビューで怒りを憶えたのも、この理屈が当てはまるのかもしれない。

 浮気に走る人が現れることも、それに集団全体が怒りを憶えてバッシングが起こることも人という生き物としては当たり前のことらしい。だとしたら、最近の芸能界の不倫騒動に対する報道も、それに反応してTwitterでバッシングが起こることもなんだか意味がないような気がした。どれも人間の本能に踊らされているだけだ。そしてこれからもずっと繰り返される。だったら、自分が一々反応するのは馬鹿らしいし、時間がもったいない。

不倫なんてクソくらえだ。だけど、他所の不倫なんか無視していいんだ。めんどくさい。